咬まれる

今日は、久しぶりの晴れ間で、日が落ちたら落ちたで、お月様がきれいな夜になりました。

夕方散歩も月明かりの中緑地を進み、ウンチもスムーズに出て、あとは珀の好きなように歩いていました。とっても楽しくて、私は冷蔵庫の中身なんぞ思い出しながら、「今日は豚汁にしよう…」など呑気に考えていたのです。

お散歩も終盤、久しぶりに少し離れた建物近くの駐車場に差し掛かったとき、駐車している四駆のトランクを開ける男性。
いつものように、立ち止まり見詰める珀(笑)。

私が思い描いていたのは、振り返った男性と珀がちょっと挨拶などするかな…ぐらいでした。…が、次の瞬間、黒い大きな影が降りてきました。しかもノーリード。


大きな黒い猟犬です。ラブラドールかな…とも思いましたが、どうも雰囲気が違います。

案の定、珀に気付き近づいてきました。ももちゃんのように、知った仲ではありません。かすかな緊張が走ります。私は「珀、おいで」と声をかけリードを引きましたが相手は離れません。まずいな…と思った瞬間、男性が私達に気付き、大きな声で「こらっ」「○○(名前)!」「こいっ」と言いながら、そのワンコを捕まえに慌てて近寄り、こともあろうかお腹を蹴りあげたのです。
思わず、「蹴らないであげてください」と言った私の言葉は、その出来事でパニックになった二匹の噛みつき合いに消されました。

相手はノーリード。いくら珀を引き寄せても離れず、私は「やめて!」と叫んでいたと思います。男性が止めようにもなかなか離れません。しまいには、右後ろ足の太ももを強く咬まれたようで「キャンキャン」と叫び、私も泣きそうでした。

ようやく引き離したと思ったら、珀はパニック状態で抱き抱えようとした私の右手を勢いのまま咬みました。
そこで初めて、私は我に返り「珀、大丈夫よ」と静かに声をかけれました。

飼い主として、もっと冷静に対応できればよかったのですが、後の祭り。
何と言っても、珀の傷が気になります。
男性はワンコを厳しく叱ってましたが、ワンコに責任はありません。責任は、リードをつけて降車させなかった飼い主にあるのです。お腹を蹴られ、挙げ句の果てにお散歩も中止。
本当なら仲良くなれたかもしれないのに…。

その後、男性は連絡先を私に告げて帰ってゆきました。
私は一目散に車に向かって走る珀を眺め、ビッコは引いてないし、大丈夫かな…と思いながらも、病院行きを考え夫に連絡しました。夫は仕事を終えて、すぐに緑地に来るとのこと。
その間、車の中で待つのですが、珀はすっかり落ち着かず、尻尾は下がり私にも近づきません。
ヴォクシーの一番後ろの座席まで行き(普段では考えられない行為)、出てこないのです。

ああ、私の精神状態がまずいと思いました。いつものようにしなくちゃ…と、オヤツ攻撃です。

明るい声で、「珀〜、おいで〜」「ほらっ!!おいしそう〜」と少しずつ…。オヤツポーチの中身がなくなる頃に、ようやく助手席まで復活し、尻尾も丸まってきました。ここまで20分くらいかかったと思います。到着した夫と珀の様子を見ながら、これで病院に行き、嫌な経験の上乗せをするよりも、せっかく持ち直しそうならこのまま帰宅してご飯にしようということになりました。

私は豚汁どころではなくなり、夫に帰り途中でほか弁を買ってもらうようお願いし、一足早くマンションへ。珀はいつものように、ダッシュボードから前方を見ています。なんだか心がザワザワして、思わずごう君のお母さんにメールしました。メールをしながら珀に咬まれた痛みを感じました。

今まで、アマガミでたくさんの傷を経験しましたが、この痛みは違ってました。何だか悲しくなりました。咬まざるを得なかった珀。怖かっただろうし、頼るべき飼い主もあわてふためき、大きな塊は自分の下半身から離れない。

早く、忘れたかったです。忘れさせてあげたい。

とにかく、いつも通り。

少し、右足を気にしてますが、見て見ぬふり。

本当は無理矢理にでも抱っこして、毛を掻き分けて傷口を確認したい。でも、これはすでに駐車場で夫が来た時に抱っこしてもらい試みましたが、ハンパない抵抗に合い、逆に悪い記憶を染み付けてしまうと感じ、やめたのです。

だって、抱っこされることが、イコール嫌なことになってもらいたくない。抱っこは安心してよいものだと、嫌なことをされるのではないのだと、守ってもらえるのだと思ってほしい。


だから、食後もいつも通り。

明日は幸い夫が休みなので、様子を見ながら過ごせます。お散歩も対ワンコが心配ですが、珀の思うまま、無理をさせずやってもらうことにしています。


今回、痛感しました。

体の傷より心の傷。私の手なんて、別にどうってことないし、珀の足だって、時間がたてば治ります。
でも、心に残るキズは、見えないからこそ心配です。これは相手のワンコも同じ。咬まれたとはいえ、かわいそうでした。

ああ、飼い主なんだ。やっぱり、飼い主次第なんだ。
別れ際、車を降りる前にリードをつけてもらうよう、お願いしました。連絡先も教えていただきましたが、だからといって、今となってはもう、どうしようもないかな。

ただただ、同じようなことがおきないよう願うばかりです。

珀はまだ、いつもの珀ではない感じです。写真は昨夜の寝顔。

時間をかけて、いつもに戻りたいと思います。